2007年8月中旬、福富町の稲川会系林一家の事務所で取材をした。
メリーさんが立っていたGMビルは林組の縄張りだ。
街娼の情報にもっとも精通しているのはヤクザのはず。
なぜ中村監督や五大路子らがヤクザを取材しないのか、ずっと不思議に思っていた。
林組はつぶれたクラブを事務所にしている。おそるおそる中にはいると、大きな鏡が並んだドレッシングルームの真ん中に壮年の組員が仁王立ちしていた。白髪交じりの五分刈り。ふてぶてしい立ち姿。年格好からして、この人に聞けばメリーさんの裏事情が分かるのではないか。
期待に反して、彼は何も知らなかった。林組ではメリーさんから所場代を取っていなかったため、彼女のことは何も知らないというのだ。
「あの人に客が付くわけがない。だから金を取るような真似はしなかった。逆にGMビルに行くたびに、千円ずつわたしていたよ。おれたちはみんなそうしてた。ルールみたいなもんだった」
ヤクザがメリーさんに挨拶しているのを見た、という目撃談を聞いたことがあるが、この辺に関係しているのかもしれない。
「あの人のことは何も知らない。全然話さないから分からないんだよ。故郷がどこかも知らないし。
オレが横浜に来た40年前には、もういたよ。
福富町のメインストリートの焼鳥屋で、よく一人で飲んでたね。
その斜め向かいの店やGMビルの前にも良く立っていた。
福富町の洗濯屋(クリーニング屋)にいつも服を出してたね。育ちが良いんじゃないか? 白い服しか着ないしね」
林組の場所は、福富町の飲食店で訊けばすぐ分かる。
誰にとっても身近な存在だからだ。
しかしメリーさんの内情は、誰も知らないのだった。
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