ヨコハマメリー・アウトサイダー・アーチスト説に対する紀要論文
甲南大学文学部教授の服部正先生に、「ヨコハマメリー・アウトサイダー・アーチスト説」に関する論考を寄稿していただきました。

この「メリーさんアウトサイダー・アーチスト説」は答えこそ出ないであろうものの、議論を戦わせる上で楽しいテーマだと思うのですが、反応ゼロ。
拙著の読者層とのミスマッチが、埋めがたく露呈する結果となりました。
はぁぁ。

この「メリーさんアウトサイダー・アーチスト説」は、2015年に参加した「みちのくアート巡礼CAMP」でいっしょになった村上愛佳さんの「自由な女神」がアイデアの源泉の一つでした。

https://www.asahi.com/articles/ASK7N3CHVK7NUQIP00Q.html

この作品、津波で半壊した石巻市のパチンコ店の自由の女神像を「アート」として提示したコンセプチュアルな作品。美術用語で言うところの「レディメイド」という奴です。
(余談ですが、僕は彼女がこの像を「作品」と提示する前に、石巻でこの像を見てました。だから「あのときのあれが!」とびっくりした覚えがあります)

自分なりに考えたのが、「レディメイドというのは物体にしか適用できないのか?」ということでした。
「戦争の犠牲者」とか「自分なりの生き様を全うした娼婦」という彼女の既成イメージに対して、まったくちがう味方を提示することは、「めっちゃアートじゃないか?」と考えたのが発想の原点のひとつです。

そういう意味では、彼女がアウトサイダーアーチストであろうとなかろうと、どちらでも構わないと言えます。
ユニークな視点から、一般的なものの見方に揺さぶりを掛けることそのものが目的なので。

服部正先生の原稿は、先生自身が多少加筆してどこかの媒体に書評として発表して下さるそうです。
また「学会の紀要に発表することもあるかもしれない」とのことでした。

僕の方も電書のおまけとして『白い孤影』に追加再録します。
kindle unlimited 対象なので、気が向いたら読んでみてください。



横濱 | comments(0) | trackbacks(0)

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