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はじめに
1999年よりメリーさんについて調べてきました。
彼女の故郷にも二度足を運び、親族にもインタビューをしています。
(単なる興味本位でしたら、ここまでしません)
この場を通じて、小出しにしながら私が調べてきたメリーさんの情報をアップします。
どの程度の露出にするかは、皆さんの反応をふまえて考えます。
*なぜ、こうしたことをするか?
 映画「ヨコハマメリー」は素晴らしい作品です。
 しかし私はあえて「メリーさん」を再定義したいと考えます。

 現在メリーさんに対する評価は以下の三つに大別されます。
1.好意的評価=メリーさんは美しい生き方をした気骨のある人。
2.なつかしい思い出(とくに価値判断はしない)。
3.否定的評価=ずっとその辺を彷徨いていた売春婦じゃないか。祭り上げるなんてとんでもない

ネット上での評価はほとんどすべてが1と2ですが、市の中心部の商店街の方々のなかには3の方々も少なくありません。
たとえば伝えられるイメージとは違いますが、晩年の彼女が寝ぐらにしていたGMビルのオーナーは3です。
ネット上で1と2の方が多い最大の理由は、記事を書いた方々の大半が比較的若いからだと思います。

わたしは1〜3のどれとも違う評価をしています。
その最大の理由は直接彼女に会ったことがないからです。
しかし彼女と関わりがある人たちと何人も会って話をするうちに、自分のなかの彼女に対する評価がどんどん変化していくのを感じました。
単なる観念のこねくり回しではなく、足で調べた結果です。

「横浜ローザ」も「ヨコハマメリー」も「PASS」もひとつの作品に過ぎません。
つまり現実の一断面にフォーカスを当てたものです。
演出の都合により、意図的に無視された要素も少なくありません。
しかし現実のメリーさんはもっと多面的です。
彼女は「かわいそうな戦争の犠牲者」ではありませんでしたし、気品はありましたが、かなり図々しさも兼ね備えていました。
じつは毎年正月になると故郷に帰っていましたし。

メリーさんを巡る物語には創作や演出、虚言がすくなくありません。
その虚構を暴くことで「メリー伝説」は色あせて魅力を失ってしまいます。
虚構や謎があるからこそ、わたしたちは彼女に惹かれるのですから。
虚構の中にひそむ真実の一端がそうさせるのでしょう。
私が試みたいと思っていることは、メリーさんを戦後史という狭い枠の中ではなく、もっと大きな流れの中に位置づけ再定義することです。

映画や舞台ではメリーさんにとって都合の良くない話は巧妙に取り除かれていました。
その結果、物語は「人情話」として演出され、メリーさんは悲劇のヒロインとして再発見されました。

しかしこのブログでは、清濁併せ持つビターな方向でいきたいと考えています。
いわば「メリー物語の新訳」です。
街に出て直接確認した話、一次資料にあたった結果を頼りにします。
その過程で虚構性はトーンダウンしていきますが、それが私の作風(言い換えれば現実の切り取り方)です。

写真も含め、これまで調べてきたことをゆっくり公開していきます。
舞台人や映画人が演出してきたメリーさんのイメージを相対化し、ニュートラルな状態に戻せれば、と思います。
彼女の故郷の写真を公表したのは、話の信憑性を保証するためです。

(4.24 若干修正)

★ ★ ★

2009.05.15のエントリー「このブログが書籍化されます」に書いたとおり、このブログの内容が書籍化されています。

メリーさんを含む横浜の外国人専門娼婦の歴史を知りたい方は、必読です。

【書名】「消えた横浜娼婦たち---港のマリーの時代を巡って
【著者】 檀原照和
【版元】 データハウス
【定価】 ¥1,700-(税別)
【ISBNコード】 978-4-7817-0016-8

*Amazonには在庫がなく、中古本のみの販売となっています。発売から時間が経っていますが、探せばまだどこかに新品があると思います。
*横浜市内の主要な図書館に所蔵されています。検索して利便性の良い図書館で借りるのも一興です。
 ▼
横浜市立図書館蔵書検索ページ
https://opac.lib.city.yokohama.lg.jp/opac/

「メリーさんについて分かればそれでいい。余計なものはいらない」という方は、メリーさんの部分だけ切り出した電子書籍(kindle)もあります。



(2016.09.14 追記)
考察 | comments(8) | trackbacks(6)
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Comments
映画「ヨコハマメリー」に関しては下記サイトをご覧ください。

Wikipedia(ヨコハマメリー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%B3%E3%83%8F%E3%83%9E%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC
Posted by 檀原 | 2008/04/24 7:32 PM

上記1〜3のほかに、というか2の変形で「興味本位」に語る、という反応もありますね。

たとえば「リアルタイムでメリーさんを見ていたときは、単なる変人だと思っていたけれど、高級娼婦だったなんてビックリ !」といったリアクションです。

当時の思い出を語るのではなく、「後付の知識」でもってメリーさんを語る人びともいるのです。

地元だからこそ、却って映画「ヨコハマメリー」を見ていない方も少なくありませんし、「メリーさんはまだ故郷で生きているんでしょ?」と訊いてくる方もかなりの数です。

まだまだ新たなメリー伝説が生まれる余地はありますね。
Posted by 檀原 | 2008/07/24 11:52 PM

TBありがとう。

>メリーさんを戦後史という狭い枠の中ではなく、もっと大きな流れの中に位置づけ再定義することです。

とても興味深いし、必要な作業だと思います。
完全な客観なんてありませんが、メリーさんの新しい姿を探求することが、あなたなりのなにかに繋がると思います。
Posted by kimion20002000 | 2008/08/09 10:45 PM

>kimion20002000さま

カキコありがとうございます。

一点お願いがございます。
わたしは「自分なりのなにか」に繋げたいのではなく、読んだ方のなにかに繋げたいと思って書いています。
このブログは調査に基づいて得られた事実を元にした「わたしの批評・分析」です。
仮に同じ事実に基づいたとしても「あなたの分析」や「あなたが感じたこと」が、私のものと一致するとは限りません。

ぜひ「あなたの分析」や「あなたの見方」、それから「私の視点」への批評・批判をお願いします。

たとえば「メリーさんはワン&オンリーな存在。『もう一人のメリーさん』など考えられない」とか、「批評以前の問題として何を言いたいのか分からないので、批判さえ出来ない」とか、色々あると思います。
Posted by 檀原 | 2008/08/12 10:13 PM

このトピックに適切かわかりませんが
初めてのコメントになります。

ちょっとした興味や偶然が重なりメリーさんに興味を持ちました。

私の気持ちは檀原さんのおっしゃる
2番に近い気がしますが、浜のメリーのDVDを見ると
どこか美化されてる気もしました。

メリーさんはあの姿でいたかった気がしました。

あの映画の最後に施設で過ごすお化粧を取ったメリーさんが
写ってました、あちらのが至極まっとうではあると思いますが
なぜか私はそれがあるべき姿じゃない気がしました。

母が本牧生まれで当時の話を聞いたところ
家のそばには「おろくさん」と呼ばれてる人がいた、と。
そして母が育った近所の方の中には
メリーさんのような娼婦斡旋するような
仕事を過去にしていた人がいたようです。
そして中には信仰を持っていた人がいたようでした。
何か償いたいものがあったか、と思いました。

またオフ会、特に実現できなかったツアーがまた行われたら
ぜひ伺いたく思います。
また頻繁によらせていただきます。
Posted by yuko | 2008/08/30 1:39 AM

yukoさん、書き込みありがとうございます。

メリーさんの話はたいへんデリケートな話題です。
いままで十年書いてきて、幻想抜きでリアルに書くと「KYだ」と嫌われ、映画や舞台などのイメージ通りに書くと「他人の作品の真似をしただけ」「単なる盗作」と言われます(でもレスはたくさん付きます)。
本当に難しいテーマです。
でも敢えて無神経に振る舞って新しい地平を開拓しようと思っています。

>メリーさんはあの姿でいたかった気がしました。
その通りだと思います。
それがメリーさん本人の希望だったでしょうし、ハマッ子の思い入れでもあったと思います。

*以下、ひんしゅくを買う発言ですので、メリーファンは読み飛ばして下さい。
例の映画をDVDでスロー再生したり、一時停止したりすれば分かりますが、老人ホームでのメリーさん、うっすら白塗りしています。
(映画館で二回見ましたが、そのときは分かりませんでした。
 ホームの他の老婆たちと比べてやけに色が白いな……、と思いDVD再生中一時停止したところ、初めて気がつきました。)

>中には信仰を持っていた人がいたようでした。
むかし「じゃぱゆきさん」が流行ったとき、フィリピーナたちは仕事の前に十字を切ってお祈りする、というレポートを読んだことがあります。
その記事のことを思い出しました。

>家のそばには「おろくさん」と呼ばれてる人がいた
「もう一人のメリー」たち その5 (08/04のエントリー)でお六さんに触れています。
 ↓ ↓ ↓
http://yokohamamerry.jugem.jp/?eid=46

ただお六さんに関して情報源がふたつしかなく、薄っぺらい描写にとどまっています。
本牧で営業している初老の不動産屋さんに伺っても、お六さんの家のあった場所は謎のままでしたし。
もしお六さんについて多少なりとも分かったら、ぜひ教えて下さい。
よろしくお願いします。
Posted by 檀原 | 2008/08/30 10:38 PM

初めまして。
先日、三年ぶりにヨコハマメリーを観まして、改めてメリーさんに対して興味が湧き、こちらのサイトに辿りつきました。とても興味深い記事ばかりで夢中で読ませて頂きました。ただ最近老眼ってやつが進みまして、文字が霞んだり滲んだりと、、困ったものです(涙)

もう一人のメリーさん、ご存じかも知れませんが私の生まれ故郷にもいました。名前も何故か同じメリーさんです。私のブログにて記事として記録に残しましたので、もし良ければと思いました。

それでは、またお邪魔させて頂きます。
Posted by 銀玉 | 2009/03/04 11:42 AM

管理者の承認待ちコメントです。
Posted by - | 2014/04/20 1:02 PM

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