錦糸町の黒いメリーさん
「出版あるある」だが、本を出してから情報を集まってくることがたびたびある。せっかく一段落ついたところだったのに、あとから新発見がある訳だ。そうすると、せっかく関係津したはずの調査が完結しなくなる。

メリーさんに関するリサーチはまさにこれで、いままで何度も「これで終わった」と思ったのにも関わらず、その都度新情報がもたらされ、ずるずるとやめどきを見失っている。

さて、リサーチ好きなネット民であれば知っていたのかも知れないが、2000年代から2010年代初頭にかけて錦糸町に「黒いメリーさん」と呼ばれる老女がいたそうだ。

いや、もしかしたらまだいるのだろうか?

自分へのメモも兼ねて、三つの記事を揚げておきたい。
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老女専門キャバクラを描いた『その女、ジルバ』

横浜は大阪よりも巨大な370万人もの人口を抱える大都市だ。

にも関わらず、存在感が薄い。

その理由はオリジナリティー溢れる文化を発信出来ていないことにある。


実際「横浜らしいお土産」とか「食べ物」といった単純なものにさえ共通イメージがないことからも、「巨大な稀薄ゾーン」であると言えてしまうと思う。


「巨大な稀薄」は曖昧さを好む。

横浜は批評を好まない。

この街には体験の語り部が大勢いるが、それを体系づける分析家がいない。


『白い孤影 ヨコハマメリー』の持ち味は、第三部の批評にあると思う。

ハマっ子は批評に冷淡なので、批評パートのウケが悪いことは承知の上だ。

しかしこの本は横浜ではなく、東京向けに書いている。

東京で受け入れられるためには、批評は必要不可欠である。


逆に横浜でウケが良いのは人情話。「心のサプリ」だ。

この街でウケる老女の物語は(映画「ヨコハマメリー」が打ち出したような)メリーさんであったり、有間しのぶのマンガ『その女、ジルバ 』だったりするのだろう。


その女、ジルバ(1) (ビッグコミックス)


『その女、ジルバ』を知らない読者のために、ざっとあらすじを紹介したい。


主人公は40歳の独身女性。

デパートのアパレル販売職にいたが、年齢を理由に売り場から倉庫に廻されてしまう。同僚たちも同じ境遇の女性ばかり。上司は男性だが、部下である彼女たちから異性として意識されていると思い込むイタイ人物である。


将来に対する希望も何もない閉塞感から逃げだそうと、主人公が偶然飛び込んだ場所。それは平均年齢オーバー60歳の高齢女性ばかりが集まるキャバレーだった……。


ネオン街では大輪の花を咲かせるものの、昼間は冴えない老婆にしか見えない「くじらママ」(1巻の表紙で中央にいる紫の髪の女性)をはじめ、人生の年輪を重ねてきたホステスたち。彼女らと働くことで、主人公は徐々に人生に前向きになっていくのである。


「老齢の女性」と「水商売」。

この2点がメリーさんと重なる。

横浜の読者がメリーさんに期待しているのは、こういう話なのだろう。


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『箱の中の天皇』にもメリーさんが!
さきほど教えてもらったのだが、話題のベストセラー小説『箱の中の天皇』(赤坂真理)にメリーさんが出てくるという。

これがまた実に重要な役割で、舞台は山下公園前のホテル・ニューグランド。
自ら「皇后陛下」と名乗り「メアリ」と呼ばれているそうだ。

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文豪・谷崎潤一郎とメリーさんの点と線
昨年12月に『白い孤影 ヨコハマメリー (ちくま文庫)』を出しましたが、実はこのテーマ、取材継続中です。

とりあえず中間発表のような形で『昭和の謎99』(2019年初夏の号)という雑誌(正確にはムック)に寄稿しました。

【ヨコハマメリーは文豪・谷崎潤一郎の「作品」だった!?】

昭和の謎99 2019年初夏の号 (ミリオンムック 8)
大洋図書 (2019-04-08)売り上げランキング: 17,116

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販促用のチラシが出来ました
今更ですが、『白い孤影 ヨコハマメリー』の販促用のチラシが出来ました。
貼らせてくれる場所を探してます。
(現在3つの書店に貼らせていただいてます)

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『白い弧影 ヨコハマメリー』への批評家・友田健太郎さんの書評
先日書評を公開した本橋信宏さんにつづいて、実力派の文芸評論家にも書評をお願いした。

群像新人文学賞評論部門優秀作受賞者の友田健太郎さんだ。

慶應義塾大学文学部元講師で書評媒体として有名な『週刊読書人(https://dokushojin.com/person.html?i=85)』ほかで健筆を振るう批評家である。

「ガチでお願いします」。
そして返ってきたのが、以下の原稿だ。

かなり重厚で読み応えがある。
▼ ▼ ▼
 
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『白い弧影 ヨコハマメリー』への著作家・本橋信宏さんの書評
『白い弧影 ヨコハマメリー』が発売して、あと10日で2ヶ月である。
本を宣伝するためにランディングページをつくろうと思い、その目玉として数名の方に書評をお願いしようと考えた。

まっさきにお願いしたのは本橋信宏さん。

『東京最後の異界 鶯谷』『迷宮の花街 渋谷円山町』『上野アンダーグラウンド』『鶯谷』という東京の裏街道を掘り下げたシリーズ本や、自身の体験から昭和の一断面をとらえた『エロ本黄金時代』、さらには“AVの帝王"とよばれた男を取り上げた『全裸監督 村西とおる伝』などで知られている。

上野アンダーグラウンド
本橋信宏 駒草出版 売り上げランキング: 225,665


新橋アンダーグラウンド
本橋信宏 駒草出版 売り上げランキング: 198,733


本来であれば、頂いた原稿はランディングページで独占掲載するべきである。
しかしなんだか疲れてしまってつくる気力が湧いてこないため、一旦ここで掲載してしまおうと思う。

率直に言って玉稿である。
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『白い弧影 ヨコハマメリー』関連URL一覧
檀原照和・著『白い孤影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)の関連URL一覧です。

自分へのメモの意味も込めてまとめてみました。

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「待つ女」の神話
それは町の噂。

「メリーさんは別れてしまったアメリカ人の将校を待ち続けるために、それと分かるように白装束の姿で街角に立ち続けているんだよ」。

その割にメリーさんにまつわるテキストには「待つ女」に関する考察が少ないと感じていた。

だからここで『白い弧影 ヨコハマメリー』で大幅に削ったテキストのオリジナル版を公開したい。
さすがにこれがこのまま本の中程に載ってしまうと「くどい」と感じるが、単体で読むとそうでもないのではないだろうか?
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横濱 | comments(0) | trackbacks(0)
1/20(日)トークイベントのお知らせ
『白い弧影 ヨコハマメリー』(ちくま文庫)の発売を記念して、トークイベントを行います。

小説家や作詞家、脚本家などと異なり、ノンフィクションライターには他ジャンルの人とコラボする機会がほとんどありません(せいぜい写真家くらい?)。

念願叶っての、他ジャンル、しかも古典芸能の世界とのコラボです。
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